2017年12月4日月曜日

レクチャーのお知らせ

京都のメディアショップにてレクチャーを行います。

http://www.media-shop.co.jp/talk_event/ishikawa_171204/ishikawa_171204.html「非写真」について」
石川卓磨レクチャー
 ーーなぜ写真を懐疑することはいま、かつてないほど重要なのか
デジタルカメラやPhotoshop、さらにはスマートフォンの普及以降、写真は、私たちにとって、かつてなく身近でありふれたものになっています。さらに、「インスタ映え」する写真にするための、アプリでの画像編集などに典型的なように、写真と加工とを切り離して考えることが難しい状況が生じています。インターネットを含む日々の現実を、膨大な量のイメージが取り巻く現在においては、もはや写真という概念は因習として残っているに過ぎず、映像イメージとしか呼ぶことができないものが氾濫する、「ポスト写真」的状況が生じています。

そのような状況下で膨大な量のイメージに圧倒され続ける私たちは、むしろ1枚1枚の写真をよく見て考えるという経験を、失ってしまっているのではないでしょう か。その結果として逆説的に、写真=事実だとなんとなく信じ込んでしまうような態度さえ、身についてしまっているのではないかと思えます。

それにもかかわらず、写真をよく見て考える経験、すなわち写真に対する懐疑の経験は、いかにして可能なのでしょうか。あるいは、その懐疑を保ち続けることは、なぜ重要なのでしょうか。

本レクチャーでは、写真を媒体とした美術作品を発表しながら、美術史、写真史を背景にした多面的な批評活動を行なわれている、美術家の石川卓磨さんをお招きします。ジェフ・ウォール、スタン・ダグラス、ロドニー・グラハム、クリストファー・ウィリアムズなどの作品を題材に、「非写真」についてレクチャーをしていただきます。

「非写真」とは、コンセプチュアル・アートに端を発する、断片化、縫合、異化、転用などの方法によって、従来写真に特権的だとみなされていた偶然性、無意識、瞬間性、真実性を脱構築し、写真についての思考を促す一群の作品のことです。ジェフ・ウォールはライトボックス作品を、「写真でも、絵画でも、映画でもないもの」として発見しましたが、そのような「非写真」についての考察から、現代の写真やイメージをめぐる状況、さらにはそこへ批評的に介入する視角について考えます。
出演 石川卓磨(美術家、美術批評)
日時 2017年12月4日(月)19:00 - 21:00(開場は18:30)
会場 MEDIA SHOP | gallery(京都市中京区河原町通三条下る大黒町44)